152号を走ったよ。遅いって?
ボジョレーヌ-ボーも旨いけど、酒蔵で寝かせた年代物も旨いと思う、嵩屋天狗堂・番頭ののりまつでございます。
日本中から集まった侠客達が旅路をともにし、やがて果て無き険路を踏破したというようなお話をします。
今更ですが・・・
酷道ツーリングに行ってきました。
京都とハワイに別荘を持つ武州の大店の若旦那はやとぅさんが、とあるブログのコメントで口走ったのが原因で、酷道ツーリングに行く羽目になりました。ええ、志願なんてしてませんとも
その酷道とは
国道152号(画像はイメージです)。
浜松に端を発し諏訪湖のほとりを抜け、佐久平に至る道。沿道に「秋葉神社」を祀り、別名「秋葉街道」とも。中部日本の山岳地帯を南北に貫く国道と言いたい所ですが・・・
貫いてなかった。
152号をツーリングマップルで調べると、天竜川沿いに赤い線が南北に走っています。浜松から浜北、船明(ふなぎらと読みます)を抜けて・・・って、あれ?去年SSTRで通った道ですね。快適な舗装路だったと記憶していますが。
地図上でさらに北上し次のページへ行くと、あれあれ?赤い線が切れてる。
横に逃げる道が付いていて、次のページをめくると・・・
「ヒョー」って書いてある!ふざけてんのか。それだけおっかなくて危なっかしい道って事??
よく見たら「ヒョー越林道」という名前が付いています。「兵越峠」の文字が。そしてフキダシに「崩落の激しさに日本のトンネル技術が敗退」と?!
世界中にダムや橋を作って回る日本の優秀な土木技術が、国内の峠を貫く事が出来なかったとは?!自然の力は計り知れませんねぇ!そして、ロマンですよ。何でも叶ってしまう世の中でサグラダファミリアだって完成させちゃいそうなのに、まだまだ開拓できない余地があるなんて。
そしてさらに北上すると、もう一箇所、開通していない場所が。これも細く曲がりくねった舗装の「蛇洞林道」を通って迂回して抜けるようです。
雰囲気のある名前ですね。単に未開通なのか、なにかワケがあるのか。「蛇」が付くという事は「蛇抜け」が頻発する、やはり脆い地盤なのか。今回は寸断されている場所までは行きませんが、いつか行って確かめてみよう。
首途を祝う遠州の名月
当日の集合場所は浜松の北辺の浜北あたりのコンビニ。のりまつはびわみかんと前乗りで浜松市内のビジネスホテルで泊まりました。
しかし浜松、遠い!「キリン」が、「デカ尻女」ことポルシェ911に「浜松までならバイクの速い」と言い勝負を挑んでましたが、カタナで全開で、浜松まで走るの大変そう。
この日の仕事は半ドンにして、自宅から世田谷のびわみかん宅へ行きました。彼女が仕事を終えるのを待ち20時ごろスタート、浜松を目指しましたが・・・パラパラと雨が。合羽を着るか少々迷いながらも、出掛けに濡れ鼠は惨めなのでフル装備しました。この判断は大正解で、高速に入ると時折激しく降るなること等もあり、着ていなかったら寒さと濡れ鼠の惨めさで、心身ともにやられるところでした。
そして箱根を越えたころ、ふっと空が明るくなったことに気づきました。街の灯りにしては範囲が広いし。
そういえばこの夜は満月でした。西に向かっているから見えないけど、たぶん背中側にいらっしゃるんでしょう。月の見えない月見を楽しみながら、時々振り返ってみたりして、浜松へ向けてひた走りました。不思議と、私らが見たときに限って雲の間から顔を出してくれるような気がするんですね、お月さん。首途を祝う遠州の名月。そういやぁ去年のSSTRの時も、そうでした。仕事も半ドン、いろいろな事がオーバーラップしますよ。
そんなこんなで23時ごろ浜松に到着。食事どころは近くに見当たらないので、セブンイレブンで購入。
サッポロの黒ビールに菊水の「ふなくち原酒」と、固い黒っぽいせんべい。あと甘い何か。意外に絶妙なこの取り合わせを楽しんでいたら、いつのまにか寝落ちしちゃいました。
ちなみに泊まったところはhotel「Day by Day」。
普通のビジネスホテルより小じゃれててお値段控えめ。ビールはグラスで飲みたいのりまつは、無理を言ってカフェテリアのグラスを室内に持込をさせてもらいましたが、そんな柔軟な対応もしてくれました。バイク乗りは気にしておいたほうがいい駐輪場については、事前に話しておいたので敷地内にしっかり確保しておいてくれました。
ちなみにあくる日、あわてて風呂に入ったりしてたら遅くなってしまい、集合場所に着いた時は時間を過ぎてしまいました。ゴメンナサイ。
貫けない国道を、推して貫く!
この旅に集まったのは8人。
関東から6名、お隣愛知県から2名。こよこよさんとははてなツーで面識がありましたが、よくコメントをいただくクワトロさんとは初対面。しかし・・・集合場所でお目にかかり、すぐにわかりましたよ。だって、お年頃が明らかに他の方と違う。ついつい親近感を抱いてしまいます。マシンもいとこ同士だし。
クワトロさんというハンネ・・・赤い彗星の方なのか、みじけぇ夢みた人の方なのか、ドイツの四つ輪の会社なのか。その佇まいからは由来を想像できませんが、いろいろなことに造詣が深そうな方です。
ツーリングに先立ち、はやとぅさんによって2チームに分けてもらっていました。すなわちお散歩ペース組と、法定速度組。法定速度組は主にSSで構成されていまして、先導は地元のクワトロさん。ちなみに彼の701smのリアタイヤにはアマリングはありませんでした。お散歩組は主催のはやとぅさんが先導でオフモタとCBで構成。いざとなったらダートにも突っ込んでいけそうなメンツです(?)
さて、ここからは写真とキャプチャ画像でスライドショー。動画編集が出来ないわけじゃないんですからねっ(汗
天気は快晴、気持ちイイ!コンビニから北上すると、間もなく飛龍大橋。
街灯の、この辺が飛龍なんですね。
船明ダム湖のほとりにて。「月 3km」という道路標示版があります。SSTRの時に通った林道の入り口のあった辺りの集落の名前が「月」というみたいです。
その更に上流の「秋葉ダム」。真ん中のクレストゲートから放流してました。ラッキー!!
道が細くなり、酷道の趣が醸し出されます・・・
ここを左に登ると「青崩峠」らしい・・・オカルトチックでいい名前です。それを過ぎるとヒョー越峠、そこを下ると遠山郷。
お山の紅葉がきれいです。
ほんの一瞬、ぐぐっと切れ込むR6。追いつけないけど、彼の走り、見てみたいなぁ。彼のR6、このツーリングで改めてじっくり見せてもらいましたが、毒っ気の強い顔立ちなのに、ヤマハらしいエレガントさが共存していて飽きが来ない・・・というか、カッコいい!見れば見るほど味がある。クセの強い泡盛みたいですよ、コレは。SS乗るならコレだな、うん!
しかしまさか、彼があんな決断をしていたとは。この時はまったく知らずにおりました。
気持ちのいい道で、ちょっと自撮り。
紅一点(?)びわみかん。一見スクーターのように見えますが、ローダウンしたCB400SBです。
道の駅・遠山郷で一息。
法定速度隊は先に行きます。
この先の152号も分断されているので、細かい舗装の蛇洞林道へ迂回します。
蛇洞林道を逸れてしばらく登ると・・・
別天地!しらびそ高原の絶景です!
先に着いていた法定速度組。
森林鉄道が展示(野ざらし)されています。
お昼はこれ。うどんと五平餅のセットですが・・・五平餅、でか!
みんなのバイク。天気がいいです。
蛇洞林道に戻り、しばらく走るとカラマツ林が。
落ちる松葉が傾きかけた陽に照らされてキラキラ舞います。動画でもわかりにくかった。
蛇洞林道で「地蔵峠」を越え、再び152号へ。しばらく走ると・・・
ここが「分杭峠」。停車すらしてはいけません。すれば警備員が寄ってきます。ここから少し歩いたところに「ゼロ磁場」の場所がある為、はやりのパワースポットなのだとか。
道の駅・南アルプス長谷ではイベントしてました。みなはこぞってソフトへ。のりまつはというと、下り龍が目を覚ましそうだったのでパス。時間があれば、皆さんを「バッタソフト」の魔境へいざないたかったですねー。
高遠を抜けて、杖突峠へ。この時点の気温!
空気を読まないペースカーの後ろで大名行列に組み込まれながらも、ようやくゴールのセブンイレブンに到着しました。冬支度50パーセントで行きましたが、寒い!ソフト喰ってなくても寒かった。しかし酷道152号を走破した猛者たちの横顔は、大業を成し遂げたオトコの自負に輝いていました(?)
そしてお互いの健闘を称え合い無事を喜びつつ、それぞれの帰路につくのでした。
旅はまだ終わらない
私とびわみかんは、白樺湖を抜け佐久に至り、そこから関越道で帰るルートを選択しました。しかしこのルートは旅の続きでもありました。
すなわち国道152号。
白樺湖の脇「大門峠」を抜け、小県(ちいさがた)に至ります。小県といえば、つい先日上田の外れに新そばを食べに行ったばかりです。
でも今回はそちらには行かず、白樺湖から東の尾根道に逸れ、さらにその尾根から谷に降りるルートを取ります。白樺湖を過ぎたあたりで辺りは真っ暗。暗い人麻呂のヘッドランプで、街灯のない谷降りルートを取るのは怖いんですが。
後からびわみかんのCBがハイビームで照らし出してくれたおかげで、だいぶ明るくなりました!しかしそれも束の間、のりまつのペースが上がってしまい、再び暗中行軍となりました。
↓のりまつの影が長く、後続のびわみかんに照らされて伸びています・・・
そんなスリルを味わいながら、やがて中山道・望月宿へ至ると灯りが戻り、ホッとします。ここからは佐久平の比較的平坦な道。明るければ左に浅間、右に蓼科、収穫前なら黄金色の田んぼに彩られ、信州のイイトコの一部が堪能できるのですが。
佐久から高速に乗り、武州が近づくにつれ空気も暖かくなり、旅の終わりを実感しました。高速を降りれば、わが田舎もまた街灯が少なく真っ暗。その分、いつのまにか浮かんでいた武州の名月がより清かに照っている様な気がしました。
「昨日はどうもー」って挨拶しておきました。
月に見送られ、月に出迎えられた旅でした。