Tenere700魚丸、就役!
常世の闇に封印されし炎の力、嵩屋天狗堂・番頭ののりまつでございます。今こそ解放の時、猛る熱土に黒き軌跡を刻め!うーん、なんか迫力ないですかねぇ。とにかく慣らしが終わってうれしいことを中二病っぽく表現したかったんです。
そうです、慣らしが終わりました。オイル交換と点検のため訪れたレッドバロンの工場長に
「早いっすねぇー」と言われ、なんだかちょっとうれしい。
Tenere700「魚丸」、すべての試験運用を終了し20200809、正式に就役となりました!
第1号作戦「美神の軌跡を追え」
えっと、就役後初めてのツーリングは、長野県のビーナスラインに、奥さんとタンデムで行きました。という意味ですw
毎年涼を求めて走るコースですが、山あり高速ありの走りごたえのあるルートです。
上信越~中部横断自動車道(佐久穂)~麦草峠~スズラン峠~大門峠~霧ヶ峰~扉峠~山本小屋~美ヶ原高原美術館~武石~上信越(東部湯の丸)
ビーナスラインがハイライト!ですね。
全開!
自宅付近で満タンにし、いざ高速道路へ。
人麻呂君(KTM690ENDURO)ではいつも4速で合流していたのでそれに倣います。
初めて本気のフルスロットル。
グァーァァン!とハイテンションなメカサウンドを立て力強く吹け上がる。
振動は少ないけどいつの間にかスピードが乗っていて、放っておいたらあっという間に140キロぐらいまで達してしまいそうな勢い。
後ろから蹴っ飛ばされるような加速、というよりは4気筒エンジンのようなオラオラ引っ張りまわされる感覚に近い。
690ENDUROのような回すほどにパワーが盛り上がる感じは幾分少ないが、全域にわたって分厚い加速感が得られる感じ。プロの記事では「フラットな特性」と言っていたのがこのことか、と納得する。
例えばHustleJanitorことハイゼットは超実用エンジンで、いくら回しても「ただ回っているだけ」でパワー感は全然ない。シフトチェンジ後にパワーバンドに落とし込む目的だけで回している(ハイゼットのマニュアルは3速4速がクッソ離れてるんです)。
そういうのとは全然違う。どこからでも「おゥラ!!」って盛り上がってくれて、高回転でも回す楽しみが続く。
タンデムでこれだから、一人の時はもっとすごいんだろうな。ダートでぶん回したらどんな動きをしてくれるかな。
想像通り、楽しいエンジンでした。もちろん、100キロ巡航も快適にこなします。振動も少なく、パーキングに入ったとき手がピリピリすることもありません(690ENDURO比)。
期待していたカウルの威力も絶大。高速、ちょー楽。肩と頭に風が当たりますが、オフ車は体全部に風が当たるので、それに比べると無風みたいなモノ。涼しいところで走っていた時、風が当たらないのが物足りなく感じたほどです。
エンジン・カウルとも、ロングツアラーとして十二分に期待できる性能です。
山道
麦草峠は、佐久側は高速コーナーと規則正しいヘアピン、茅野側はトリッキーな複合コーナーがちょいちょいあり、別荘地に入るとかなり細かく不均等なコーナーが続き、全線にわたってツギハギだらけの路面という、ちょっと偏屈な道です。こういう道、軽いオフモタは得意なんですね。変な凹凸もサスペンションのストロークで吸収してくれるし。
平均的なオフモタより50キロ以上重く、トップケースにタンデムの重量級Tenere700はどうだったか。
のりまつのペースでは、690ENDUROと遜色なし、です。後ろに乗ってる奥さんもバイク乗りなので、コーナーに合わせて自然と体重移動してくれる。そのせいもあってかよく曲がる。リアヘビーでフロントが逃げるかと思っていたが、普通のオフ車ぐらいの逃げ方。そしてひらりひらりとよく切り返しができる。こんな特性もオフ車然としています。楽しいです。
その後のビーナスラインも大パノラマを楽しみながらサンデードライバーの皆さんに合わせてのんびり走ります。690ENDUROがもっとも苦手とした「人に合わせてのんびり走る」。Tenere700は悠々とこなします。ちっともイライラしません。美ヶ原に登るヘアピン連続ルートも、止まりそうな先行車のペースにもめげません。
途中の富士見茶屋でブルーベリーソフト。山本小屋で名物の小さなチーズケーキとクリームチーズのスプレッドを買いました。この暑いのに、ナマモノ買ってだいじょーぶ?
へっへーん。大きなトップケースに、奥さんが保冷バッグを入れておいてくれたからだいじょーーぶ♪うーん、ぜいたくな余裕!
そして美ヶ原高原美術館から武石に落ちていく、ボコボコの舗装と細かいトリッキーなカーブの連続するルート。オフモタが最も得意とする舗装路かと思いますが、タンデムでもいつも通り楽しくギャップをいなしながら走ることができました。
オフ車だけどデカい。デカいけどやっぱりオフ車。オフ車しか乗れなくなったのりまつには、非常にしっくりくるマシンでした。
ちなみに美ヶ原高原美術館で、とうとう出会いました。同族Tenere700に!このツーリングで100台近くはバイクを見ただろうに、1台たりともまみえなかった。まだまだ少数派。セローみたいに溢れかえっちゃうのが嫌だから、のりまつとしては好ましい・・・けど、商業的にうまくいってほしいとも願う。
この方は赤白で、エンジンガードが同じヘプコ&ベッカー。ただしこの方は上のガードも付けています。
最後まで迷った赤白。やはりカッコイイ・・・しかしのりまつっぽさはやはり黒で正解だったかと思いました。赤白はスマートでかっこよすぎる。旧ザクがお似合いのガデムがゲルググに乗るようなもの(?)。
この方は赤白のTenere700が似合うスマートな感じの人でした。以前はKDX220SRでダートを席巻していた猛者。裏腹に気さくで穏やかな感じの人で、初対面なのにお互い話が尽きない様相でした。すでにTenere700でダートを走ったそうですが「意外とイケますよ」との事。遠くから来ていたようなので、惜しみつつも見送りました。
またこの人と話していた、地元のNINJA乗りのひと。持っているマシンはオンロードのW800やVOLTYですが、万沢林道や真田町周辺の林道を走るとの事。話すことがどうもオフロード脳になっていると思ったら、ジムニー乗りなんだそう。今はKLX230に興味津々との事で、購入を強く強く勧めておきましたw
タンデム
Tenere700に期待したもの、タンデム性能。妻もバイクに乗りますが、それとは別にタンデムも楽しみたい人。なので初期からタンデム性能向上のカスタマイズをしてきました。具体的には
・タンデムシート(Y‘sギア)
パッセンジャーコンフォートシート | ヤマハ発動機グループ ワイズギア
・2人分積載できて、ちょっと寄り掛かれるトップケース(GIVI TREKKER52L)
・それを付けるキャリアとベース(GIVI)
の3点。シガーソケットも増設してあります。
タンデム時の走行については、例えば250のオフ車だとフンコロガシにでもなったみたいな気持ちになり、ケツは重いわ曲がらなくなるわ窮屈だわでまともに運転できたもんじゃないけど、Tenere 700は走っている最中ならほとんどソロと変わらない印象。シートの前後長があるせいか、密着しなくても余裕がありポジションもある程度自由に取れます。
乗っていた方の奥さんは、とても気持ちが楽だったそう。今まではどこかにしがみついていないと振り落とされそうで怖かったみたいですが、今は少しなら手放しもできるとの事。しっかり寄り掛かるわけではないけど、やはり背に支えがあるのは圧倒的安心感との事でした。
ただ怖いのは、乗り込む時。先に乗り込んだ運転者は、ただでさえ足着きが悪い状態にプラス一人分の体重を支えなくてはいけないので、結構気合がいる。
信号で止まる時は、いつもの注意で充分かな。一人乗っていくらか沈む分、足つきはよくなりますけどね。
※「いつもの注意」とは
Tenere700など足着きの悪いバイクに乗っていて信号などで停車しようとするときは、何も考えずに停まって足を着こうとすると「アレ?!?!」と足が宙を切って立ちゴケしそうになることがあります。なので「停まるぞ、足を着くぞ」と普段から少しだけ意識する必要があります。
また必要に応じて
・足を着く側にお尻をずらしておく
・足を着きたい側と反対に、少しだけハンドルを切って停まる
・轍の中に停まる
などの態勢を取っておく必要があります。
そんなわけで、タンデム性能は期待通り。安定感・操作性・居住性とも文句なしでした。第1号作戦も、予想を上回る戦果を挙げ、その性能を楽しみつくすことができたのでした。
第2号作戦「密林の奥に湧出でる水源を探索せよ」
毎年真夏に行っている奥利根のダム群をめぐるツーリングで、これもタンデムで。第1号作戦同様楽しく走れました。
が、航続距離の長さに過度な期待を寄せ、ヒヤヒヤ取り越し苦労をしましたよ。
まだ50キロぐらいはガソリンスタンドがない状況下で、燃料ゲージの最後のひとメモリ(1/6)が点滅。頭をよぎるのはKTM690ENDUROで福島の山奥でのガス欠。この時は警告灯がついて25キロ程度で完全にガス欠したのでした。
Tenere700は、これまで乗ってきてだいたいの燃費は把握してあり、それから計算してもまだまだ余裕のはずだけど、タンデムで山道走ってきたしな・・・でも日本車はKTMとは違ってアホみたいに多くリザーブがあるから、まさか25キロでガス欠なんてことは・・・などとモヤモヤ考えながら、超燃費走行します。
無事にスタンドに着くと、なんと4リットルも入りました。16リットル入るうちの4リットル。帰ってマニュアルを調べたら、4.3リットルで警告灯が着くんですと。ざっとみて警告灯が点いてから100キロは走るってことですね。さすが日本車。
こんなわけで、第2号作戦も新しい学びを得ながら無事に完遂することができたのでした。
次回、いよいよTenere700の真骨頂、オフロードミッションに挑みます。
土1号作戦「僚機と共に樹海を突破せよ」
君は生き延びることができるか