嵩屋天狗堂~はてな支店~

オフロードバイクアリマス。

プロのワザ、カッコいい!

一つ転んで起き上がる前にまた転ぶ、嵩屋天狗堂・番頭ののりまつです。


最近トラブル続きで、ネタに困らず嬉しい悲鳴というよりは切実な悲鳴の日々です。こんなのばっかりで大丈夫なのか、のりまつ。ただ、せっかく転んだ(トラブルに遭った)ので、その経験が誰かの役に立つよう、書き記しておきます。


まず兆治君が起きてくれなくなりました。→キルスイッチの接触改善で解決。
norimaz.hatenablog.com


次に人麻呂のインテークがポン!って外れました→プロの助言ですぐ解決。
norimaz.hatenablog.com

かかりが悪く始動しそこねてポン!ってなるのは、燃料制御がアクラポビッチのサイレンサー対応になっていなかったせいみたいです。


また人麻呂がオイル漏れしました→KTM群馬で工事。この時、燃料制御がアクラポビッチ対応になってなかったことを発見してくれ、マップ変更とプラグ交換もしてくれました。


フェンダーレス問題はトラブルでなく自己責任の人災なのでここには挙げません。

いずれのトラブルもレッドバロンKTM群馬(シロタモータース)のプロの手で解決を見ています。今回は、「やっぱりプロってスゴイ!」というお話。



今度は旭龍(KLX125)。


8月のある日、福島県のシルクバレーキャンプ場へのキャンプツーリングが企画されていました。しかし一度中止になり、延期となった日が大事な用事のある日に当ってしまいました。しかも、投入予定だった人麻呂(690ENDURO)がオイル漏れで入院。
ここは諦めるのが順当ですが、シルクバレーも今年で閉業との事で、どうしても行きたかった。以前は兆治(スーパーシェルパ)で行ったのですが、リヤカウルがないのでサイドバッグを積載するのが大変。そんなわけで、旭龍を投入する事にしました。前の持ち主のYYさんも、これに大荷物を積んで全国を徘徊してたし。もっともYYさんは荷物をコンパクトにする名人ですが。

のりまつはそういう芸当ができないので大きなサイドバッグにキャンプ用品をつめて、用事を済ませたあと夕刻にスタート。ちなみに使ったバッグはこちら↓↓

ラフ&ロードのアクアドライ。防水性能は日本一周で使っても維持されてた(実践者・Wっきーさん談)ので信頼性は高いです。

過積載が心配なので、リアの空気圧を2.0まで上げておきました。日暮れまでに林道を越えたいけど、この荷物でダート走るのも心配だな・・・と思いながら走っていると、国道122足尾辺りでリアに違和感が・・・。妙にグニョグニョしていてタイヤがこんにゃくになってしまったみたい。そう、空気圧が異様に下がってしまった状態です。

タイヤを触ると、異様に熱い!そしてやはり空気が減っている。が、空気を入れると回復する。普通のパンクとはなにやら様子が違う。原因はわからないけど、この状態で夕刻の林道を荷物満載で通るのは自殺行為なので、撤退する事にしました。



不時着、修復。しかし・・・


ゆっくり走りタイヤをいたわりながら、だましだまし・・・しかし道の駅黒保根やまびこを過ぎた辺りで本格的なブレイク感が!経験上、これはパンクしてタイヤのビードが落ちてしまっている時の症状。まっすぐ走ることもままならず、このまま走れば重篤な事態に陥ることは必至!直ちに走行を中止しました。

不時着地点は「宿廻」という信号に差し掛かるところで、脇にスペースがあり街灯もある場所。不幸中の幸いか、いい場所が確保できました。ここで工事を始めますが、16インチは交換が大変なんだよなー・・・ビードが固くって。でもそんな事言ってられない、何とか修復して生還しなければ。

慣れた作業ではあるので着々と工事は進みますが、外してみて愕然、タイヤの中からこんな状態のチューブが。
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空気圧の上げすぎに加え、過積載でタイヤが熱くなり空気の内圧も上がったところでバーストしたのでしょう。またもや人災です。呆れたモンですよ。でも他に頼る人はいないので自力で何とかしなきゃ。

携帯していた新品のチューブに交換し、タイヤのビードを入れ込む作業にかかります。一番の正念場。
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ここにある「ビード」を、ホイールの内側に入れ込む作業ですね。この状態↓↓にするわけです。
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修理失敗の一番の原因が、この時にチューブをレバーでこじって穴を開けてしまう事。対策の一つで、チューブに少し空気を入れておくというのがあり、それを実践しました。そして慎重に進めますが、16インチはこれが固い!レバーを深く挿しすぎないよう、力を入れすぎないよう、レバーを返しすぎないよう、気をつけたいけどそんな事言ってたらビードが入らないし!反対側のビードをよく落としてから作業を進めますが、それにしても固い!

手元も暗くなってきたので更に更に慎重に進めていたつもりが・・・レバーを抜くときに「ぷひゅ」って音が。どうやら穴を開けちゃったみたい。抜ける音がわかるほどとは、空気を入れすぎていたのかも。手元が暗くて噛んでいるのがわからなかったのも一因か。

仕方ないのでチューブを取り出して、パッチを貼る作業を行います。幸い場所は特定できているので、320番ぐらいの紙ヤスリを広範囲にリブがなくなるまでかけて、糊塗って生乾きにして、パッチを貼って叩く!叩く!

この時に重宝したのが、工具入れの内面を保護するために入れていた廃チューブの切れ端。これをホイールの下に敷くことでスプロケやローターを傷つけずに作業できるし、パッチを叩くのもこいつの上から叩けば徒に傷つけずに済む。持っててよかった! 

あたりは真っ暗になり、キャンプ用に持っていたヘッドランプを装着して、再度チューブを入れタイヤを組みこみます。今度は更に更に更に慎重に・・・苦し紛れに、レバーの先にビードクリームを塗りました。チューブを噛みそうになっても「ヌルッ」と滑ってくれるように。チューブの空気圧も上げすぎないように気をつけます。

今度は成功!空気入れでしゅこしゅこやってると空気圧も上がってきた!これでやっと帰れる。片付けて再スタート。しかしなんかリアにまだ違和感が・・・やはり慎重に走ります。



絶望の淵に差しのべられた、油まみれの手。


大間々に入ると、ここからは人家が絶え間なくあります。なんか、ひと安心。ここらでまたパンクしちゃったとしても何とかなる感じがするなーなんて考えていると。

またリアがぐにょぐにょ感に襲われた!

もうすぐ伊勢崎に指しかかろうという辺り。なんて日だ!もう修理する気力もないし真っ暗だし。先ほど渡った踏み切りの傍に駅があったから、とりあえずそこまで行って、電車で帰って、じゃに君(ハイゼットカーゴ)で取りに来よう。もうそうするしかない。

ダメ元で空気を入れて、来た道を引き返し駅に向かいます。すでに8時過ぎ。ぐにょぐにょいうリアを感じながら走り出そうとすると、左側に「・・・モータース」の看板が。そして今にも店を閉めようとオヤジさんが外に出ていた。

藁をもつかむ思いでオヤジさんに声をかける。もう終わりなんだけどな・・・という雰囲気を醸し出しながらも「どうしましたか」ときいてくれた。わけを話すと、「とりあえず中に入れて」と。愛想がいい訳でもないが悪いわけでもない、ゆったり淡々とした感じのオヤジさん。

その雰囲気のまま旭龍をリフトに上げ、隣町の安いラーメンの話をしながらリアタイヤをいじり始める。あくまで淡々としていて作業してるって感じがしない。タイヤをリムから外し、チューブを引っ張り出し、先ほど貼ったパッチがはがれているのを発見。ちなみにホイールは車体につけたまま作業しています。なんか大丈夫かな、このオヤジさん。淡々としすぎてて何となく心配なんですけど。
「この穴は大きいから、チューブ替えたほうがいいね。ウチには16インチがないから交換できないけど、応急でパッチ貼っときますね」とパッチ貼り作業へ。電動の機械でヤスリをかけますが、結構ガッツリやする。私もバリが取れるぐらいまではかけたつもりでしたが、もっとしっかり。糊を塗って、乾かしながらまたまったりおしゃべり。乾いたところでパッチを貼って、小さなローラーでコロコロ圧着。修理を終えたチューブをタイヤに入れ込み、空気を入れるバルブをリムの穴から出す作業へ。
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これ、こんな風な↑↑ツールを使わないと大変なんだよな・・・と思って眺めてたら、何にも使わずにいとも簡単にぴょこっと顔を出すバルブ。あれ?この人すごいかも?とこの辺で気づき始める。

でも問題はこの先ですよ。この固いビードを、ホイールつけたままどうやって入れ込むのか。
「あれ、固いなー」
そうでしょそうでしょ?どーやって入れるんです?

オヤジさんはやっぱり淡々と、ホイールをくるくる回してビードを押し込むしぐさを繰り返します。そしてレバーでビードを入れ込みまたくるくる回して・・・とやっているうちにみるみるビードが中に入っていく!そしてとどめのプラハンで一発、最後の部分がポコン!って入り込みました!この間5分に満たない。ビードクリームなんて塗ってません。私は塗ったけど、それは反対側。なのにあの頑固なタイヤは、自ら収まるかのように素直にリムにハマるのでした。

思い余って「ホイール外さないほうがやり易いんですか?」なんて愚問を投げかけるのりまつ。
「いやー、外したほうがやり易いですけどね」
それって、この程度の作業、外すまでもないって事?かっこよすぎなんですけど。



価値あるもの。


多くを語らず、見るも淡々と、日常の些事をこなすごとく作業を行う。熟達した技術ってのは、ほんと簡単そうに見えるんですよね。
でもわかります。私はさっきまで、この作業を1時間近くかけて汗だくで、うんうん唸りながらやっていて、その上失敗してるんですから。素人と比較するモノでは無いけど、この技術は、すごい値打ちがあるものだ!

とかく目に見えない「技術」というものが、コスト削減の対象となり安売りされる傾向にある気がします。目に見えない分評価がしにくくて、価値が付けにくいのもあるのでしょう。でも本当に値打ちがあるのは、こうした人の手についている「技術」だと思うのです。
それはたくさんの苦い経験と、痛みの積み重ねと、小難しい理論の習得で培われたもので、それが人の役に立ち助けていると思うと、プライスレスだなって思います。

値打ちのあるものには相応の代償を支払う。そういうことをキチンとしていかなければ社会は発展しないんだよと、とある昔の商店主は言っておりました。そんなの古い価値観で淘汰されるべきものかもしれないけど、大事にしたい感覚だと感じています。「金は天下の回り物」、自分の物のようでも社会の物だから。

そんなわけで、オヤジさんの言う料金に、少し足してお渡ししました。時間外と緊急。介護保険ならいずれも加算がつくパターンです。それにいいモノを見せてもらいました。磨かれたパフォーマンスを観て感動したら、ライブの入場料を払うのと同じで、お金を払いたいと思ったのもあります。そして授業料。次のタイヤ交換作業が楽しみになったのは、よい授業を受けた証です。


いろいろ脱線しましたが、プロってスゴイね!って話でした。

今回得た物
ビードが固くてつっぱちゃっている時は、他の部分(裏も表も)のビードを念入りに何度も押し込む。ゴムの伸縮性で引っ張られている方向に緩むみたい。
・チューブのパッチ貼りは、ヤスリをバッチリかける。空気に触れていない層を露出させないとゴム糊が効きにくいみたい。やするのに軽石がいいとの事。


余談。


後日、YYさんにこの話をしたところ、彼はリア2.5キロ入れて荷物満載で北海道を爆走していたそうです。結局今回の原因はチューブが劣化していただけなんでしょうか、なぞは深まってしまいました。
そういえば、先日兆治君も林道を走り終わったと、舗装路でパンクしています。先日の授業が役に立ち、ビードを念入りに押し込む事(膝でタイヤ側面を踏みつける)で固いと思っていたMT21が意外と簡単に組めました。私はパンクが嫌なのでいつでも空気は1.2以上は入れているんですが、いったいなぜ?パンクの神に愛されている?あと何回、路上でパンク修理させられるのか?!もうかんにんして~