嵩屋天狗堂~はてな支店~

オフロードバイクアリマス。

荷車に夢を載せて沼の入り口にただずむ。

昔話風に「嵩屋天狗堂」のガレージのお話。


むかーしむかし、のりまつという呑気な男がおりました。

のりまつの家は「嵩屋天狗堂」と言って、特に何かを売っているわけではないのですが、時々楽器を持ってちんどん屋みたいなこともしているようです。
ここには3台の乗り物がいます。バイクが2台、車が1台。田舎なので車がないと生活できないから仕方ないのですが、ちょっと持ちすぎかなと思ったりしています。でも、一応役割がそれぞれあったりして、まあまあ仲良く生活しているのでした。

お兄さんは兆治君。カワサキさんちから来ている子で、勇敢なシェルパ族の血をひきます。
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カワサキ・スーパーシェルパ

見た目は、たとえるならロバのよう。足が短くてなんとなく小ぢんまりしていますが、意外と力があって万能選手です。でも、遠くに行くのはちょっと苦手。


弟は人麻呂君。なんと外国のオーストリアから来ています。
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KTM・690ENDURO

初めは日本の風習に慣れず反抗ばかりしている時期もありましたが、今ではずいぶんなじんで来たようです。見た目は外国産らしくスラッとしているのに筋骨のしっかりした、いわゆる細マッチョなサラブレッド。田舎くさいお兄ちゃんとはずいぶん差があるようです。すごい力を持っていて、遠くに行くのも楽々だし、デコボコ道だってお手の物。お兄ちゃんよりワンランク上の万能選手ですが、体が重くて力がありすぎるのが時として困りモノだったりもします。


4輪車もおりますが、その話はまたあとで。


ある日、そこらの河原にある野良コースに誘われました。誰かが重機なんかで開削した非公式なオフロードコースの事を「野良コース」などと呼びますが、そのコースは轍だらけで短い急登あり、細かーいターンもあちこちにあります。のりまつはどちらで行こうか迷いました。

コースを走るなら、アスリートな人麻呂だけど、急登でまくれたり曲がりきれなかったり、パワーも重さも持て余すかも・・・
一方兆治君は、どうにでも走ってくれるけど、足回りがスカスカで、ジャンプしようものなら「ガチャン!」って着地。轍にもいちいち干渉されて気を使います。


いい齢こいて、こんなのんきな悩みに日々を暮らすのりまつなのでした。


軍用航空機にたとえるなら。


兆治君のスペックは
エンジン出力:26ps
シート高:830mm
乾燥重量:111kg
で軽くてパワーはそこそこ、足着きが良いのが自慢。でも足回りはまるで素抜けの水鉄砲、いちいちギャップを拾うので先行車に着いて行くのが大変。そんなわけでドッグファイトは苦手だけど低速での取り回しの良さは抜群で、さしずめ攻撃機と言ったところ。
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攻撃機の例:A-10「サンダーボルトⅡ」


一方人麻呂君。
エンジン出力:63ps
シート高:910mm
半乾燥重量:138kg
足回りはアスリート級で、オフ車としては圧倒的なパワー。重さも安定性に貢献し、重装備をして遠くにお出かけ・時々ダートなんてのも得意。たとえるなら長距離巡航と攻撃力を兼ね備えた爆撃機と言ったところ。しかしそのパワーと重さをあましてしまうことがある上、足着きが悪い。
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爆撃機の例:B-1「ランサー」


すでに万能な2台を所有していますが、こんな時にちょうど良くない。どちらも帯に短し襷に長し。「万能とはすべてにハンパである」とは、まさに至言でしょう。
しかし、今後もしかしたらレースにも出てみたいような気持もあったりして。それには攻撃機爆撃機ではなく、やっぱり戦闘機が理想!
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戦闘機の例:F-16「ファイティングファルコン」


そんなことをもやもや考えていたころ、千葉のツーリングで一緒だったYYさんが、KLX125を試乗させてくれたのでした。小さくてパワーもそこそこだけど、サスが積極的に動いている感じがして姿勢のコントロールが楽しい!カワサキきっての戦闘機・戦う4stことKLXの名は伊達じゃないことがわかりました。


125ccならランニングコストが少なくて済むし、125の戦闘機が欲しくなっちゃいました。でもKLX125じゃYYさんと同じになっちゃうし・・・そんなわけで色々検索。


125のファイター達、そして急報!


YAMAHA XTZ125
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・・・は戦闘機じゃなさそうです。シェルパとキャラが被るので却下。いや、125を攻撃機にして250のシェルパを戦闘機に入れ替えれば・・・いやいや、コストかかりすぎですって。


あとは外車。興味のあるものだけ。

Beta RR4T 125LC
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Huskqvana TE125
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KTM 125exc
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コレは公道走れません(-_-;)


どれも鍛え抜かれたサラブレッド、生え抜きの戦闘機ぞろい!見た目も垢抜けててカッコいい!私のようなバカには垂涎の逸品ぞろいです。
しかしそれを手に入れるには、やはりたくさんの代償を払わなくてはなりません。嵩屋天狗堂にはそんな財力があるはずもなく、獲れない狸の皮算用をしてはワクワクもやもやする日々を送っていたのでした。


そんなおり、YY氏から一通のメールが。


「KLX、要ります?」


・・・え?マジ?


自賠責がすごく余ってるから、その差額だけもらえればいいですよ」


・・・神?


田舎なので置き場所にも困らない、運用コストも小額。一人で4台もの自動車を有することに抵抗はありましたが、お迎えすることにしちゃいました。


しかし、
「次のマシンが決まったらね」


という条件付。いいですとも!贅沢は申しません、いつでもお待ちしてますから!


トランポ大統領


うーん、念願の戦闘機がこんな形で手に入ろうとは。しかしKLX125、遠出するのは兆治以上に苦手。コースやレースとなるとそれなりに遠征という形にならざるを得ない。それに以前から、故障したバイクを運ぶ手段が欲しいと思っていました。


つまりはトランスポーター通称トランポ。本来はプロのライダーが、公道を走れないレース用のマシンを運ぶモノ。プロじゃなくてもその道に長じた、尊敬すべき変態たちも愛用しているモノです。


しかしその時に乗っていた車はスズキ・スイフト
norimaz.hatenablog.com

いい車なんですが、バイクを積むのはかなり難しい。そして不具合、車検。ここは、乗り換えだ!


昔から世話になっている車屋さんに用途とか要望を相談して見つかったのがこちら↓
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トヨタVOXY

観光地やショッピングモールで、こんな車の中から若い夫婦が子ども達を抱えて出てきます。子ども達のはしゃぐ声、小さい子を抱っこしたパパの「ほーれ、気をつけろよー」なんて注意を促す声、ママは大きな袋に子育てキットを詰め込んで背負い込んでいます。独りモンの私は彼らの事を「リア充」と呼んでいますwそして、VOXYのような大きな車は、そんなリア充なアレコレをすべて引き受けてくれます。
そうです、コレは家族の季節用の車です。泥だらけのバイクを積む車ではありません。バイクを積んでいる時はまだ良いけど、普段の無駄っぷりったらハンパないです。ガソリンも税金も無駄、広いスペース無駄、重い車重も無駄、太いタイヤも無駄、後席の便利装備も、独りモンののりまつにはすべて無駄無駄無駄ァ!!
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そんなわけで、却下です。もうちょっと、身なりにコンパクトに生きたい。


次の候補がコレ↓↓
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ダイハツ・アトレー(4WD・ターボ・AT)

ワゴンなので荷室のスペックがわからないけど、これのバン(快適装備を取り除き荷物運びと営業に特化した商用車)である「ハイゼット」のスペックを参考にすると・・・KLX125は余裕、フルサイズでもタイダウンかネコタイヤ換装で載せられない事もない。実際に載せているブログもあり、こいつぁアリだ!となりました。


しかし職場の軽バンを運転してみると、ATはターボがあってもかったるい。しかしMTはNA(ターボなし)でも小気味良い。普通なら迷うことなくMTを選ぶところですが・・・

トランポとして捉えるなら、断然ATが良い。例えば遠征先で怪我をしたとしても、ATなら何とか帰ってこられるが、手も足も頻繁に使うMTは、怪我した状態での運転は地獄の苦しみ。ブレーキ踏み損ねるなんて事もあるかも。

生活のパートナーとして捉えるなら、やはり慣れ親しんだMTが良いし、かったるいのはまっぴらごめん。速くなくてもいいから小気味よさが欲しい。


迷うところですが、頻度から考えて、生活のパートナーとして捉えるのが正解でしょう!よし、MTに決定!


よーし、MTのアトレーをインターネットで探しちゃうよー♪


ヒット件数・・・ゼロ。え、そんなにマイナーな存在なの?全国では・・・やっぱりゼロ??どーなってんの??
よーく調べたら、アトレーにはMTの設定自体がない!そーか、MTなんて所詮絶滅危惧種ですもんね。


でも、バンのハイゼットならあるよね?でも、商用車に4WDでターボの設定なんて・・・あったー!!


で、見つかったのがコレ↓
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HIJETカーゴ クルーズターボ

このグレードは、バンのクセにちょっとだけ快適装備付き。丁度いいんじゃない?!税金は人麻呂より安いし。まだ入庫したばかりでろくに写真がなかったけど、玉数は埼玉県内で2件のみ。こいつぁ押さえておかないと!写真見るなら現物見ちゃった方が早い!


というので、休みの日に見に行って、オーディオも付いてないモノでしたが気に入っちゃいまして、即決!


こうしてHIJETカーゴ クルーズターボをお迎えする事になったのでした。


ちょっとインプレ


・動力性能
軽自動車とはいえやはりターボ。高速の追い越しでも970kgの車体をぐいぐい引っ張ります。100km/hで5500rpm、軽としてはいい方じゃないでしょうか。ただ巡航するとなると、やはり1300ccのスイフトには及ばず100km/h弱ぐらいが快適速度。
ギア比はちょっと変。スーパーローの1速なので荷物満載坂道発進も安心で、通常は2速発進で充分。ここまではいいのですが、3速と4速の間だけが異様に離れてるのでちょっと慣れが必要だったりします。

・燃費
基本ケチケチ走りなのりまつですが、だいたい15km/l。思ったより良くない燃費ですが、タンクが大きいのか航続距離は500kmを越えます。これはありがたい。

・ハンドリング
低中速コーナーの続くワインディングを攻めてみましたが、簡単にインリフトして3輪走行します。足回りには期待してないので気になりません。

・その他
印象がいい。コレに乗っていると「働く人」のステータスが付くせいか、狭い道に迷い込んでも嫌な顔されないし、なんかみんな優しい。ケンカも売られない。全体的にホッコリした気分で運転できる。これ、最大の美点かも。


ちなみに早速カスタムをしてあります。

・CDとUSBとAUX端子のある1DINオーディオ。BLUETOOTHも付いてるやつにすればよかったと、ちょっと後悔。ナビ?スマホのナビの方がタダで優秀だからいらないかな。その代わり、スマホホルダーにはこだわりましたが。

・スピーカー 2スピーカーで、純正置換えを目論むも適合せず、断念中・・・その代わりリアスピーカーをつけました。

アルミホイール。往年のレーサーに装着されていた「ハヤシレーシング」を奢りました。昔からあこがれていた軽バンに乗るにあたり、やはり昔からあこがれていたホイールを装着して、ホクホクです、気分だけ。ローダウンでもしてやれば格好が付くんですが、そんなことしたらコースのあるようなところへ入って行けなくなっちゃうので、ノーマルのままです。空いたホイールハウスはトランポの証!


トランポとして起動させるには


とりあえず、ラダーを積まないとトランポになりません。人が押せるスロープの斜度にするには、高さ×3の長さが必要というのが福祉用具業界のセオリーらしいので、それに近い長さのあるラダーを選定しました。


あとは、バイクを固定する為のタイダウンベルト。とりあえずガンジョーそうなバイク用のヤツ。


サスを縮める必要性が生じる可能性もある事から、2本×2セット購入。固定自体は2本で間に合い、1本は収納したラダーの固定用。1本は余り。


KLX125、来た!


こんな風に準備が整った頃、YYさんから「次が決まらないけど、引き渡します」との知らせが!さっそくハイゼットカーゴ「HUSTLE JANITOR」通称じゃに君を駆って、引渡し場所へ向かいました。ランデブー地点はカワサキ!縁起が良いぞ!


持ち物についてYYさんから事前にアドバイスを受けた中で、「ラダーをもう一本、もしくはビールケース」というのがありました。どうも人間用の踏み台として使うようです。これがあれば最後の一押しや降ろす時がだいぶ楽になるそうです。自宅の車庫として使っている洗濯干し場に30センチ程の段があり、これを上り下りするために使っているラダーをビールケースの代わりに持参。


引渡し場所に到着。YYさんはスズキ・エブリイから手馴れた感じでてきぱきとKLXを降ろしました。で、私に積み方をレクチャー。バイク用のラダーと、踏み台用のラダーを設置し、まず載せてみてもらいました。意外と力が要るのかも。載せてもらったのを一度おろし、自分でチャレンジ!気合と勢いでえいっと押して、上手く積載できました。

載せたらベルトで固定しますが、固定するとサスが縮みます。この縮みっぱなしの状態は良くないらしく、この後食事に行った先でも、逐一緩めました。


ちなみにハイゼットは、リアシートを固定するフックがいいところにあり、ここにベルトを引っ掛けることにしました。2本止めで充分安定しています。
オプションのDカンがフロアに設置されているのですが、耐荷重の設定値が低くて怪しいのでヤメ。


バックミラーに写るKLXを時々眺めて悦に入り、帰り道も遠く感じませんでした。そうしてお迎えしたのがコイツ!!
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KLX125 F-12KR「旭龍」 
エンジン出力:10ps
シート高:830mm
乾燥重量:112kg

YYさんの古傷で、ハンドルが曲がって左上がりになってたり、そのせいでクラッチが擦り切れていたりですが、機関・足回りとも良好!ハンドルなんてすぐアップに変えるから気になりません。こいつぁ値打ちモンだ!

名前について。YYさんとは、ある日の泊まり林道マスツーリングで、それぞれパンク一回ずつしてその修理で変なテンションになったまま、二人っきりの浴室で小林旭を熱唱した間柄。こんなつながりを示す「旭」の字に、YYさんの本名から1字いただき読み替えて「龍」の字を。人呼んで「旭龍(きょくりゅう)」と発します!
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こうして我が嵩屋天狗堂には、2輪4機、4輪1台が配備されることになったのでした。
総気筒数6、総排気量1695cc、総重量約1340kg(乾燥)、総自動車税15000円。
うーん、中型セダン1台にも及ばない。やっぱ任意保険は台数なりですけどね。



さて、どこを走ろうかな。まず体力つけなきゃ。